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防災・減災の取り組み自然災害への備え
わが国の国土は、地震・火山活動が活発な環太平洋帯に位置しており、また、台風・前線活動等の気象条件、急峻な地形や急勾配の河川等の地勢条件により、暴風雨、洪水、土砂崩れ等が発生しやすく、甚大な被害をもたらす自然災害が頻発しています。国民一人ひとりが、高まる自然災害の危険性(リスク)に向き合い、次のような「備え」を確かなものとし、日頃から防災・減災に取り組むことが必要です。
1 自分の生活する地域にどのような自然災害のリスクがあるかを正しく認識する
2 家具の固定、持ち出し品の準備、非常時の食料・物資の備蓄等をしておく
3 災害後の早期の生活再建を目的として、事前に共済・保険に加入する
国を挙げてこれに取り組むため、内閣府は2016年から2017年に「保険・共済による災害の備えの促進に関する検討会」を開催し、2017年3月に、上記の備えを国民に促すためのパンフレット『水害・地震から我が家を守る保険・共済加入のすすめ』(以下、「内閣府パンフレット」)を作成し、公表しました。
日本共済協会も、この検討会に参画するとともに内閣府パンフレットの作成に協力し、「自然災害への備えの必要性」について、会員団体と協力して、その組合員および一般の皆様に周知する取り組みを進めています。
1 自分の生活する地域にどのような自然災害の
リスクがあるかを正しく認識する
1 自分の生活する地域にどのような自然災害のリスクがあるかを正しく認識する
水害(風水害・土砂災害)について
日本の年平均気温は、100年あたり1.19℃の割合で上昇しています。また、猛烈な雨(1時間降水量80㎜以上の雨)の年間発生回数も、増加しています。
地球温暖化の進行に伴って、大雨や短時間に振る強い雨の頻度はさらに増加すると予測されており、台風や豪雨による風水害・土砂災害発生リスクが高まっています。
地震災害について
近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震があります。
中でも、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で想定されます。
ご自宅周辺の地域の災害リスクを知ることは非常に重要です。災害の種類によって、様々な形で情報が発信されていますので、下記を参考に情報を収集しましょう。
災害リスクに関する情報について
風水害・土砂災害リスクに関する情報
「風水害対策」(内閣府防災担当)「洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ」(国土交通省)
「各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域」(国土交通省)
地震リスクに関する情報
「地震に関する評価」(地震調査研究推進本部)「地震・津波対策」(内閣府防災担当)
「都市圏活断層図」(国土地理院)
「J-SHIS 地震ハザードステーション」(国立研究開発法人防災科学技術研究所)
火山噴火災害リスクに関する情報
「火山対策」(内閣府防災担当)その他自然災害全般に関するリスク情報等
「ハザードマップポータルサイト」(国土交通省)※リスク情報の閲覧サイト。上記記載の情報も一部閲覧可能。
「主題図(地理調査)」(国土地理院)※土地条件図など
内閣府の以下のサイトでは、都道府県ごとに設けている防災に関するホームページにアクセスできるようになっていますので、お住まいの地域の防災情報をご確認ください。
「各自治体防災情報」(内閣府防災担当)
2 家具の固定、持ち出し品の準備、
非常時の食料・物資の備蓄等をしておく
2 家具の固定、持ち出し品の準備、非常時の食料・物資の備蓄等をしておく
災害に強い家にしよう
免震性・耐震性・耐火性に優れた住宅は、自然災害による被害を最小限に食い止め、家族や財産を守るうえで非常に重要です。耐震診断や、必要に応じて耐震補強を実施しましょう。また、家具の固定や、配置の工夫 を行うことや、地震の揺れを感知して電気を自動的に止める「感震ブレーカー」も有効です。
災害への備え 普段からの準備が大切
(1)持ち出し品を準備しておく
飲料水、非常食、軍手、常備薬、懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、洗面用具、乳幼児がいる方は哺乳瓶や紙おむつ等をあらかじめリュックサックに入れておくなどし、貴重品と併せて持ち出せるように準備しておきましょう。
(2)非常時のために食料や物資を備蓄しておく
各家庭で最低3日間、できれば一週間過ごせるよう、飲料水(一人1日3リットル)、食料等を備蓄しておきましょう。
保存期間の長い普段の食料を多めに買っておき、期限の近いものから消費、使った分を買い足す「ローリング・ストック方式」も効果的です。また、カセットコンロや下着、トイレットペーパー、携帯トイレ等も備蓄してあるといざというとき役に立ちます。
(3)非常時の連絡先や集合場所を家族・親族で確認しておく
普段から、家族・親族間で災害時の安否確認方法や集合場所等を確認しましょう。
また、「171災害用伝言ダイヤル」などのサービスを活用しましょう。
3 災害後の早期の生活再建を目的として、
事前に共済・保険に加入する
3 災害後の早期の生活再建を目的として、事前に共済・保険に加入する
住宅・生活再建にはお金がかかる
もしも大きな災害が起こって、お住まいの住宅が被害を受けた場合、修理や建て替えにかかる費用は大きなものとなります。公的な支援金や善意による義援金だけでは、住宅・生活再建には十分な金額とはいえません。
- 東日本大震災で全壊被害にあった住宅の新築費用は、平均して約2,500万円で、それに対して公的支援として受給できるのは、善意による義援金をあわせても約400万円にとどまりました。
いざというときに共済ができること
日本共済協会の会員団体が提供する共済にご加入いただくことで、台風や暴風雨などによって発生した洪水、高潮、土砂崩れなどの風水害、地震、津波、火山噴火による大切な住宅や家財への被害に備えることができます。
会員団体が提供する住宅・家財に関する共済で、自然災害による被害に対する各共済の主な保障内容は以下のとおりです(共済金支払の対象となる自然災害の種類を〇で表示)。
なお、保障内容は共済によって異なりますので、保障内容の詳細やご加入のお手続きについては、各会員団体のホームページをご参照ください。
会員団体名 | 共済名 | 共済金お支払の対象となる主な自然災害の種類 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
台風・暴風雨 | 土砂災害 | 洪水 | 突風・竜巻 | 大雪 | 地震・噴火・津波 | ||
JA共済連 | 建物更生共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
JF共水連 | くらし (生活総合共済) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
こくみん共済 coop<全労済> | 住まいる共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇※1 |
コープ共済連 | 自然災害共済 ※2、※3 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
火災共済※2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | - | |
全国生協連 (都道府県民共済グループ) |
新型火災共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
日火連 | 新総合火災共済 | 〇※4 | 〇※4 | 〇※4 | 〇※4 | 〇※4 | 〇※5 |
総合火災共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇※5 | |
普通火災共済 | 〇 | - | - | 〇 | 〇 | 〇※5 | |
NOSAI協会 | 建物総合共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
防生協 | 火災共済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※1 契約プランによります。
※2 こくみん共済 coop<全労済>の共済事業規約にもとづく共済です。
※3 自然災害共済は火災共済とセットでの加入となります。
※4 契約プランによって、保障範囲を選択できます。
※5 特約で付帯できます。保障の対象は建物のみです。
おもな自然災害に対する会員団体の共済金等の支払実績
巨大地震や台風・豪雨などの自然災害による大切な住宅や家財への被害に対して、被災された契約者の方々の一刻も早い生活再建に役立てていただくため、会員団体は共済金等の迅速な支払に努めてきました。
■自然災害に対して会員団体がお支払いした共済金等の合計額が1,000 億円を超えた事例
1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災など過去の大規模自然災害に対して、会員団体の共済金・保険金・見舞金の支払合計額が1,000 億円を超えた事例は以下のとおりです。
発生年月 | 災 害 名 | 共済金・保険金・見舞金 |
---|---|---|
1991年9月 | 平成3年台風第19号 | 1,722億円 |
1995年1月 | 阪神・淡路大震災 | 1,441億円 |
2004年9月 | 平成16年台風第18号 | 1,357億円 |
2011年3月 | 東日本大震災 | 1兆2,282億円 |
2016年4月 | 熊本地震 | 1,832億円 |
2018年9月 | 平成30年台風第21号 | 1,877億円 |
2019年9月 | 令和元年台風第15号 | 1,236億円 |
2019年10月 | 令和元年台風第19号 | 1,429億円 |
2021年2月 | 令和3年福島県沖地震 | 1,268億円 |
2022年3月 | 令和4年福島県沖を震源とする地震 | 1,769億円 |
■ 最近の主な大規模自然災害に対して会員団体がお支払いした共済金等
最近発生した主な大規模自然災害に対して会員団体がお支払いした共済金・保険金・見舞金は以下のとおりです。
発生年月 | 災 害 名 | 共済金・保険金・見舞金 |
---|---|---|
2018年6月 | 大阪府北部地震 | 569億円 |
2018年7月 | 平成30年7月豪雨 | 773億円 |
2018年9月 | 平成30年台風第21号 | 1,877億円 |
2018年9月 | 平成30年台風第24号 | 907億円 |
2019年9月 | 令和元年台風第15号 | 1,236億円 |
2019年10月 | 令和元年台風第19号 | 1,429億円 |
2021年2月 | 令和3年福島県沖地震 | 1,268億円 |
2022年3月 | 令和4年福島県沖を震源とする地震 | 1,769億円 |
※ 上記支払実績は、2023年9月末時点における各会員団体からの報告に基づく合計値であり、会員団体によっては損害系の支払額の他、生命系の支払額を含んでいる場合があります。
なお、災害名別の支払額の把握が困難な会員団体の実績については、支払実績に含めていません。
地震保険・共済にかかる地域ごとの加入状況
財務省では2011年の東日本大震災を受けて、2012年から地震保険制度に関するプロジェクトチームを立ち上げ、その後2013年から2015年にはフォローアップ会合を開催し地震保険にかかる検討を進めてきました。また、その後、2016年の熊本地震、2018の大阪府北部地震、北海道胆振東部地震といった地震の発生を受けて、地震保険を取り巻く環境が変化する中で、さらに地震保険制度を巡る諸課題についての議論が必要であるとして、2019年から2023年にかけて計7回にわたり地震保険制度等研究会を開催しました。その研究会の中で、地震保険・共済にかかる地域ごとの加入状況をグラフで示しています。
※ 財務省 地震保険制度等研究会 第7回(令和5年5月31日)、資料3「地震保険の加入促進について【事務局資料】」p.2から抜粋。
※ 上記資料出典の日本共済協会資料はこちら。