2023年を迎えるにあたり、謹んで初春のお慶びを申しあげます。
はじめに、会員団体および関係者の皆様におかれましては日頃より当協会にご支援とご協力を賜り、心より感謝を申しあげます。
昨年は、ウクライナ情勢や急激な円安などによる物価高騰、またオミクロン株の流行等により繰り返される新型コロナウイルスの感染拡大の波が、私たちの生活に大きな影響を及ぼした一年でした。
厳しい社会環境が続くなか、当協会は昨年4月に結成30周年を迎えました。この30年の間には、保険の自由化、保険法の制定、各種協同組合法や債権法などの法改正、契約者保護の強化、大規模災害の多発、新型コロナウイルス感染症の発生、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展など、共済事業に関わる大きな社会情勢の変化がありました。当協会では、そのような動きに合わせ、会員団体の意向の取りまとめや関係省庁への働きかけ、多くの会員団体に共通するテーマでの調査・研究活動、教育・研修活動、広報活動、「共済と保険」誌の出版などを行うとともに、会員団体間の協力と連携の促進などを進めてまいりました。
また、この30年は協同組合共済にとって、その存在感を増し認知度を高めてきた年月と呼べるのではないかと思います。
自然災害への対応においては、大規模災害が頻発するなか、各会員団体は、被災された契約者の一刻も早い生活再建に役立てていただくため、共済金などの迅速な支払いに努めるとともに、防災・減災に向けた、さまざまな取り組みを実施してきました。この30年で自然災害に対して会員団体がお支払いした共済金などの合計額が1,000億円を超えた事例は8つほどあり、多くの契約者の負託にお応えしてきています。
続いて、新型コロナウイルスへの対応ですが、日本国内では第8波に入り、昨年12月末時点での累計感染者数は全世界で6億5千万人を超え、日本でも2,800万人以上とも言われています。当協会として、本件にかかる会員団体の共済金などの支払実績を取りまとめたところ、昨年10月末時点の累計で、約480万件、約3,380億円をお支払いしている状況です。
各団体の役職員の皆様のご尽力に敬意を表するとともに、新型コロナウイルスの発生から約3年が経過し、社会・経済の疲弊が深まるなか、一刻も早い終息を心より願わずにはおられません。
このように社会・経済の不透明さが増すなかにあって、「持続可能な地域や社会をつくる」ためのSDGsの取り組みが重要性を増しており、ICAも全世界の協同組合が総力を挙げてSDGsの達成に向けて取り組むことを奨励しています。また、SDGsを達成するための重要なステークホルダーと位置付けられる協同組合は、一層の役割発揮を期待されており、それに積極的に応えていく必要があるものと考えます。
そこで、昨年11月に結成30周年記念講演会として「リスク軽減に向けた共済団体の役割」をテーマに、国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長の水鳥 真美様による講演と、関係団体の代表者によるパネルディスカッションを行い、私たち共済団体においても相互扶助の理念に基づく保障の提供とともに、リスク軽減に関する幅広い取組みの重要性について共有する機会としました。
当協会においても、共済事業の健全な発展を図り持続可能な地域や社会づくりの一翼を担えるよう、昨年12月に実施した2022年度 共済事業にかかる認知度等調査について、本年4月を目途に結果の概要をホームページ等で公表するとともに、ホームページとYouTubeで配信している「3分de共済」について、本年2月を目途に新たに「交通安全」をテーマに追加し、全体の体系を変更した上で、リスクの予防や軽減に向けたアニメ動画の充実を図ってまいります。
結びに、本年が皆様とご家族の皆様にとって、明るく希望に満ちたすばらしい一年となりますよう心からお祈り申しあげます。
一般社団法人 日本共済協会 会長 廣田 政巳