2022年を迎えるにあたり、謹んで初春のお慶びを申しあげます。
はじめに、会員団体および関係者の皆様におかれましては日頃より当協会にご支援とご協力を賜り、心より感謝を申しあげます。
昨年は、世界的なパンデミック(感染爆発)となった新型コロナウイルス感染症の急拡大が、医療崩壊の危機と度重なる緊急事態宣言等の発出を招き、経済社会活動に暗い影を落とすとともに、デジタル化の遅れなどさまざまな社会的課題が顕在化した1年でした。
また、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成」や「脱炭素の取り組み」が、環境問題と社会的課題を解決する重要な取り組みとして、人類誰もが避けて通れないものとなってきた中で、昨年10月の当協会セミナーでは、気候変動イニシアティブ代表の末吉竹二郎氏をお招きし、「SDGsや脱炭素の動きのなかでの今後のビジネスの在り方」と題してご講演いただきました。この講演の中で、「デンマークでは協同組合の精神が市民レベルで自然再生エネルギーを生み出す文化を育んできた結果、洋上風力発電で世界トップクラスとなっている。日本でも協同組合が社会転換・経済転換の主体の一つとなることができ、そうした役割を担っている。」とのお話があり、協同組合の理念「一人は万人のために、万人は一人のために」がこれらの課題解決のための道しるべになりうると改めて考える機会となりました。
さて、当協会は本年4月に結成30周年を迎えます。戦後多くの共済団体が設立され、次第にその存在感を増していくなか、事業理念を同じくする協同組合共済の連携や共通課題への意思集結を行う場が求められるようになったことを受け、7つの共済団体の結集のもと1992年に産声をあげました。2003年に「共済相談所」を設立し、2010年にはADR促進法にもとづく法務大臣認証機関となり、さらに2013年には一般社団法人へ移行するなど、今日まで着実に歩みを進め、現在18会員団体のご支援をいただいています。また、この間に日本の主要な共済団体の事業実績は大きく伸長し、多くの組合員の生活設計に必要不可欠な存在になっています。
経済社会活動が正常化に向けて再開しつつありますが、コロナ禍を契機に急速に普及した非接触、遠隔化を可能とするデジタル化などの新しい生活様式の流れは「ウィズコロナ」「アフターコロナ」の時代を迎えようとも変わることはなく、共済団体においても組合員とのつながりを重視したリアル、対面といった従前からの取り組みに加え、新しい社会環境と新常態へ備えることで多様なニーズを持つ組合員の期待に応えなければなりません。また、大規模な自然災害などさまざまな不安やリスクに備え安心した日々の生活を提供するためには、より多くの人々に協同組合の価値と共済事業の必要性を理解いただくことが重要です。
この取り組みの一つとして、当協会は昨年、共済事業に関する一般消費者の認知と関心についての調査「共済事業にかかる認知度等調査」を実施し、調査結果を会員団体の皆様に提供するとともに、一般の方々に向けた情報発信も行う予定です。また、ホームページとYouTubeに新設した、アニメ動画のサイト「3分de共済」を通して、協同組合と共済についての理解促進と防災・減災についての情報提供に努めてまいります。
結びに、本年が皆様とご家族の皆様にとって、明るく希望に満ちたすばらしい一年となりますよう心からお祈り申しあげます。
一般社団法人 日本共済協会 会長 廣田 政巳