2021年を迎えるにあたり、謹んで新春のお慶びを申しあげます。
はじめに、会員団体および関係者の皆様におかれましては日頃より当協会にご支援、ご協力を賜り、心より感謝を申しあげます。
昨年を振り返りますと、2020年はまさに新型コロナウィルスの世界的な感染拡大と予防のための対策に終始した歴史的な一年でありました。わが国でもいまだ感染の終息にはいたっておらず、引続き感染症予防対策と社会・経済活動の両立を目指した取組みがわが国の各所で試みられているさなかにあります。新型コロナウィルスによって、これまで全く想定していなかったリスクが顕在化し、私たちの生活のありようを一変させてしまうこととなりましたが、「新しい生活様式」あるいは「アフターコロナ」の時代を迎えても、組合員の皆様に安心を提供するという共済事業の役割は変わることはありません。新たな社会環境にふさわしい共済事業の在り方について、引き続き会員団体の皆様とともに議論を深めてまいりたいと思います。
さて、今年は東日本大震災の発生から10年目となりますが、近年わが国では地震による災害だけではなく、台風や豪雨による大規模な自然災害が相次ぎ、大きな被害をもたらしています。このような大規模自然災害は地球温暖化による異常気象が原因とも言われていますが、人やモノ、資本等が世界を自由に移動する現代では、経済はもちろん、気候変動や自然災害といった社会的課題もグローバルに連鎖し、深刻な影響を全世界にもたらすようになってきています。
「誰一人取り残さない―No one will be left behind―」。これは、2015年に国連で策定された「持続可能な開発目標」(SDGs)で掲げられている基本的理念です。国連は協同組合をSDGs推進のための重要なステークホルダーのひとつとして位置付けており、わが国の協同組合もそれぞれの立場からSDGsの取組みに参加しているところです。
当協会においても、昨年11月に開催した日本共済協会セミナーにおいて株式会社ピープルフォーカス・コンサルティングの黒田氏をお招きし、「SDGsが企業にもたらす可能性と課題」と題してSDGsに取り組むうえでの課題や協同組合・共済団体に期待する取組みについてご講演をいただきました。SDGsを達成するとはどういうことなのか、どの様に取り組むべきなのかなどについて改めて思いを巡らせる機会をご提供できたのではないかと考えています。
また、1年後に目を向けますと、2022年は日本共済協会が設立されてから30年を迎える節目の年となります。戦後多くの共済団体が設立され、次第にその存在感を増していくなか、事業理念を同じくする協同組合共済の連携や共通課題への意思集結を行う場が求められるようになったことを受け、1992年に日本共済協会は7つの共済団体の結集のもと産声をあげることとなりました。その後、ADR促進法にもとづく認証取得や一般社団法人への移行など様々な取組みを経つつ、今日まで一歩一歩着実に歩みを進めてまいりました。設立30周年を間もなく迎えるにあたり、これまでの歩みを改めて振り返るとともに、共済事業の健全な発展をはかり、地域社会における農林漁業者、勤労者、中小企業者等の生活安定および福祉の向上に貢献するという当協会の目指すべき方向性を今一度確認し、新たな飛躍のための一歩を踏み出す年としていきたいと思います。
結びに、本年が皆様にとって、明るく希望に満ちたすばらしい一年となりますよう心からお祈り申しあげます。
一般社団法人 日本共済協会 会長 青江 伯夫