共済について共済Q&A
協同組合に関する近年の国連の動きはどのようなものですか?
- 国際協同組合年
2012年は、国連の定めた「国際協同組合年(International Year of Co-operatives=IYC)」でした。これは、2007年の世界的な食料危機と、2008年以降の金融・経済危機に対して、協同組合が耐久力・回復力を示したことを背景として、国連が協同組合を「人々の経済社会開発への最大限の参加を促している」、「持続可能な開発、貧困の根絶、都市・農村におけるさまざまな経済部門の生計に貢献できる事業体」と評価し、世界全体で1年を通じて協同組合の社会的認知度の向上、協同組合の設立・発展の促進、そのための政府・関係機関への働きかけに取り組もうとしたものです。
日本においても、協同組合の歴史・現状・課題、東日本大震災の際に果たした役割、国際協同組合年の意義をまとめたパンフレットが作成・配布され、各種のイベントが開催されました。一連の取組みのなかで、「地域のために活動する協同組合」という協同組合像と、「政府と営利会社に加えて、協同組合が有力な構成要素となる」新しい社会像が明示された点は、意義のあるものでした。
また、2023年11月3日、国連総会は、2025年を、2012年に続き2回目の「国際協同組合年」とすることを宣言しました。
この宣言は、「社会開発における協同組合」と題する国連決議のなかで行なわれたもので、協同組合の取り組みをさらに広げ進めるため、また、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた協同組合の実践、社会や経済の発展への協同組合の貢献に対する認知を高めるために、国連、各国政府、協同組合が、この機会を活用することを求めています。 - SDGs
2015年9月、国連は、2030年を目標年次としてすべての国と関係者が実行すべき行動計画である「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための開発アジェンダ」を採択し、そのなかで、協同組合が民間セクターの一員として役割を担い、その活動を促進すべきことを明記しました。
この「アジェンダ」の中心となる「持続可能な開発目標(sustainable development goals=SDGs)」に関する施策を実施するため、日本政府は2016年12月に「SDGs実施指針」を決定しました。そのなかの「推進に向けた体制」において、連携すべきステークホルダーの一員として、協同組合が明記されています。
これらは、持続可能な社会づくりに深く関わってきた協同組合の取組みが、国内外で広く認知されていることを示すものです。 - ユネスコ無形文化遺産
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、2016年11月、ドイツからの提案に基づいて「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践」を無形文化遺産として登録することを決定しました。「無形文化遺産の保護に関する条約」において、無形文化遺産は「慣習、表現、知識、技術等で、世代から世代へと伝えられ、コミュニティ等によって不断に再現されるもの」と定義されています。登録を決定した政府間委員会は、協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」と評価しました。わが国の協同組合も、地域社会が直面する課題に対して有効な解決策を生み出し、よりよいくらし・仕事・地域を創っていく不断の取組みを通じて、協同組合の思想と実践をさらに発展させて次世代に引き継いでいくことが期待されています。